2019年(平成31年)4月放送予定
4月10日(水):第百十九回:昭和四十年の境
話者:野尻泰煌(センセイ)、松里鳳煌(マッチャン)
いよいよ我見偏執の世の中になってきたとマッチャン。公共的な場では私見とは違っても一般的な知見を元に論じ合い、自らの知見とは分けて話す必要があるのではと投げかける。日本はイギリスの映画みたいに克明に再現するに徹する時期じゃないかと。対してセンセイは、その通りではあるが、乖離が進みすぎてギャップを埋められないのではないかと投げかける。役者馬鹿的な「これだけやっていれば幸せ」という人が居なくなったと。日本人の乖離がどの辺りで生まれたかの話になり、昭和四十年の前と後ではないかという話へ。
4月20日(土):第百二十回:東京物語・前編
話者:野尻泰煌(センセイ)、松里鳳煌(マッチャン)
2018年に4K化記念で限定公開された小津安二郎監督の映画「東京物語」を観たというマッチャン。これまで通しで観たことは無かった。センセイは名画セットを購入し「東京物語」を含め400本ほど全て家で観たと言う。その上で映画というのは最大公約数で描かれている共通項があると語る。マッチャンは「東京物語」に触れ、家族像のリアリティの面白さに触れると同時に、当時から日本人の人間性の大きな変化が既に語られると述べる。センセイは各役者に触れその演技力の高さへ賛辞を送り、話込んでいく。
4月30日(火):第百二十一回:東京物語・後編
話者:野尻泰煌(センセイ)、松里鳳煌(マッチャン)
東京物語の後編。マッチャンは当時から日本人の価値観の大変化がこの映画に描かれていると語り始める。青雲の志でもって上京したもののうだつが上がらない人が出てくる。本作では長男の医師がそこに当たる。センセイは小津安二郎の他の作品にも同じようなものが描けれていると語る。恐らく当時の日本人に多かったのだろう。多くは一端のものになろうとしてもならないものであるが、逆になったとして果たしてそれが本当に満足する人生を過ごしたかと思えるか、寧ろどう自分を律するかが命題だと思うとセンセイ。どう生きるかの話になっていく。
東京物語:(とうきょうものがたり)は、1953年に公開されたモノクロの日本映画である。監督は小津安二郎、主演は笠智衆と原節子。『晩春』(1949年)、『麦秋』(1951年)、『東京物語』(1953年)で原節子が演じたヒロインはすべて「紀子」という名前であり、この3作品をまとめて「紀子三部作」と呼ぶことがある。昭和28年度文化庁芸術祭参加作品。
上京した年老いた両親とその家族たちの姿を通して、家族の絆、夫婦と子供、老いと死、人間の一生、それらを冷徹な視線で描いた作品である。戦前の小津作品、特に『戸田家の兄妹』などにすでに見出されるテーマだが、本作でより深化させられることになった。「ロー・ポジション」を多用し、カメラを固定して人物を撮る「小津調」と形容される独自の演出技法で、家族を丁寧に描いている。家族という共同体が年を経るとともにバラバラになっていく現実を、独特の落ち着いた雰囲気でつづっている。by Wikipedia
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