2020年(令和2年)11月放送予定
11月10日(火):第百七十一回:野尻泰煌の死生観
話者:松里鳳煌
書家である野尻泰煌の人生と死は切っても切り離せない。十七歳で自分の人生をかけて育ててくれた母を突然失い、精神的支柱を築いた祖母の死を見届け、書を始めた大きなキッカケと心の根底を培った祖父を失い、細君の末期に身を捧げた。一方、十代から書家の一員として活躍した彼は、更に多くの別れを経験することになる。自ずと高齢者の多い世界。丁々発止した諸先輩方、歳差ある友人達、そして師を次々と見送ることになる。自らのライフワークとなった「是(ぜ)」もそれ故であったことだろう。そんな先生でも、脱水が原因で意識を失った父を発見した時から決定的な変化が。
11月20日(金):第百七十二回:映画監督の手腕
【蔵出し】話者:野尻泰煌(センセイ)、松里鳳煌(マッチャン)
センセイが名画を纏めて観た際に「暗い」と言った言葉が印象が残るとマッチャン。センセイは「暗さ」の他に名画には「シーン」が残ると語る。名作の二大要素なのだろうと。先生は明るくて忘れられない創作を望んだが、現実には明るい作品は自身もサッパリ忘れてしまう。名曲でも同じような事が言え、テンポが速く彩りがあるものは印象に残らない。話は本質的な部分に。最終的にはどんな表現も平易なものをどう見せていくかにかかっているという話に。2017年にハンガリーを訪れた際に実感したと述べる。(2019年2月収録)
11月30日(月):第百七十三回:ともえ五周年・前編
話者:松里鳳煌
2015年11月22日が”藝文對談ともえ”の初収録日でした。初放送日は2015年12月10日。満五年になります。何事も3年、5年、7年、10年で一つの節目を迎えるに思いますが、続けるのってそれだけ大変。それでもライフワーク、人生の縁になるうるものはそうした長尺であることは欠かせない。”ともえ”の五年目は”野尻先生が居なくなる”という想像だにしなかったものとなりました。6年目突入を記念し”藝文對談ともえ”の始まった経緯から改めて振り返り、それまでの歩みと裏舞台を語ります。
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